2026年1月改訂



飲食店営業許可の有効期間はいつまで?

奈良県版(他都道府県の方は参考までに)



目次

1. 飲食店営業許可には有効期間があります。

飲食店を始めるときや運営していくうえで、必ず必要になるのが「飲食店営業許可」です。許可を取って安心してしまいがちですが、意外と見落としやすいのが「有効期間」です。飲食店の営業許可証には、いつまでその許可が有効かという期間が書かれています。この有効期間が過ぎても営業を続けたい場合は、期間が終わる前に許可を更新する必要があります。もし、許可の期限が切れたまま営業を続けてしまうと、「無許可営業」となり、重い罰や行政からの厳しい指導を受けることがあります。

2. 有効期間の長さは?

飲食店営業許可の有効期間については、食品衛生法第55条第3項に定められています。

食品衛生法第55条第3項

第五⼗五条③ 都道府県知事は、第⼀項の許可に五年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる。

以上の条文から、各都道府県知事は5年以上 の有効期間を設定できることがわかります。したがって、有効期間は全国で一律ではなく、各自治体の条例などによって異なります。ここでは参考までに奈良県の条例に基づいて説明します。他の都道府県での取り扱いについては、各都道府県の条例を確認するか、保健所などの関係機関に問い合わせてください。
奈良県では、有効期間は5年から8年 の範囲で定められており、この点は奈良県食品衛生法施行細則第9条第1項に規定されています。

3. 基準は?

以下に、奈良県食品衛生法施行細則第9条第1項の条文を示します。

奈良県食品衛生法施行細則第9条第1項

第九条 営業許可の有効期間は、次の表の上欄に掲げる別表第三の基準に係る査定項目に適合した数の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める期間とする。

査定項目に適合した数 営業許可の有効期間
〇~五項目 五年
六~十項目 六年
十一~十五項目 七年
十六~二十項目 八年

上記の条文から分かるように、営業許可の有効期間は査定項目への適合数によって決定されます。具体的には、0~5項目に適合していれば有効期間は5年、6~10項目で6年、11~15項目で7年、16~20項目で8年と定められています。20点満点を4つの区分に分けていると考えると理解しやすいかもしれません。
更新手続きの負担を軽減するためにも、営業許可を取得する立場としては5年の有効期間よりも8年の有効期間の方が良いと考えるのが自然だと思います。そして、より長い有効期間そのためには、より多くの査定項目に適合することが必要となります。そこで、査定項目が何かを確認する必要があります。査定項目の詳細については、奈良県食品衛生法施行細則別表第3に規定されています。長いので読み飛ばし推奨です。

別表第三(第九条関係)(平七規則二七・追加、平一二規則七〇・旧別表第五繰上、令三規則二・旧別表第四繰上)

一 建物
鉄骨若しくは鉄筋コンクリート、石材、ブロック又はれんが造りであること。
二 天井
コンクリート、モルタル、タイル又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
三 天井の高さ
三メートル以上であること。
四 天井の構造
パイプ等がすべて天井裏に収納され、天井面が平滑であること。
五 内壁
コンクリート、モルタル、タイル又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
六 内壁及び床の構造
内壁と床の接合部がR構造であること。この場合において腰壁があるときは、接合上部が四十五度以内の取付構造であること。
七 床及び腰張り
コンクリート、モルタル、タイル又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
八 排水
グリース・トラップが二室以上あること。
九 区画
完全区画されていること。
十 空調設備
機械による室温管理がされていること。
十一 採光
作業面で二百ルックス以上であること。
十二 洗浄設備
コンクリート、タイル、陶器又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
十三 保管設備
コンクリート、石材、ブロック、れんが又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
十四 冷蔵又は冷凍設備
コンクリート、タイル又はステンレス等の耐蝕性金属材で機械式であること。
十五 製造、加工、調理又は販売に係る施設
コンクリート、タイル又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
十六 製造、加工、調理又は販売に係る施設の配置
作業に適した十分な空間をもつた配置がされていること。
十七 手洗い設備
部門ごとに適した設備であること。
十八 計器
正常に作動する温度計又は計量器があること。
十九 汚物保管設備
コンクリート、石材、ブロック、れんが又はステンレス等の耐蝕性金属材であること。
二十 給水
水道法に規定する水道により供給される水であること。

上記の内容から、奈良県食品衛生法施行細則が求める査定項目は、飲食店が食品を扱う施設であることから、衛生的で安全な環境の確保を目的としていると言えます。査定項目の中には、飲食店の許可申請を提出する段階でも対応可能なものもありますが、多くはすぐに対応できない内容となっています。そのため、より多くの査定項目に適合するためには、店舗選びや改装など、できるだけ早い段階から査定項目を意識して準備を進めることが重要です。

2. 具体的な有効期間は?

具体的にどの程度の有効期間が設定されているかについては、厚生労働省のオープンデータ で公開されていますので、参考までにそちらを確認してみて下さい。。奈良県が公開しているデータも含めてざっと目を通したところ、奈良県内では6年の有効期間が認められるケースが多いようです。その次に多いのが7年、続いて5年といった状況です。8年のケースは確認できませんでした。また、奈良県食品衛生法施行細則第9条第3項により、知事に裁量が認められているため、たとえば6年の場合でも6年0か月であったり、6年6か月であったりと調整されることがあるようです。

奈良県食品衛生法施行細則第9条第1項の表に戻ると、査定項目が0項目であっても、有効期間は5年と定められています。つまり、仮に0項目であっても営業許可自体は認められることになります。このことから、この条例が規定している有効期間および査定項目は、営業許可が認められる最低限の基準を満たしていることを前提とし、その上でどこまで有効期間を延ばすかを判断するために設けられていると言えるます。

5. まとめ

以上の内容をまとめると、以下の通りです。

  • 飲食店営業許可の有効期間は都道府県ごとに異なり、奈良県では5年から8年に設定されている。
  • 有効期間は、奈良県食品衛生法施行細則に定められた20項目の査定基準の適合数によって決まる。
  • 査定項目は主に建物や設備の衛生・安全基準であり、より多くの項目に適合するほど有効期間も長くなる。

ここまで飲食店営業許可の有効期間について説明してきましたが、許可の有効期間だけに目を向けるのではなく、ご自身が理想とする飲食店をどのように運営したいかという信念を持ち、着実な準備を進めることが何より重要です。自分らしいお店づくりに向けて納得のいく形で営業を開始できるよう、前向きに取り組んでください。また、営業許可を取得した後も、衛生的で安全な環境を維持することが、安定した店舗運営と信頼につながります。皆様の飲食店開業が充実したものとなるよう、心より応援しております。



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